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2017-02-17 (Fri)
先日、久しぶりに海へ行った。
2月になってから初めての海。
今月から事業所へ週4日通うことになり、まだ心に余裕がなくて、足が遠のいていた。

いつものように、海辺に沿うように作れた階段に腰を下ろし、目を閉じて波音に身を委ねる。
冷たい風が吹く中、雲間から漏れる朝陽がほんのりと頬を温めてくれる。
10分ほどそうやって海を味わっていると足元から冷えてきたので、引き上げることにした。
この季節は、長居は禁物。

いつもは遊歩道を歩くんだけど、この日はなぜか砂浜を歩きたくなった。
ザクッザクッと靴に砂が入らないよう、慎重に足を運ぶ。
足元に目をやると、先まで続くたくさんの足跡。

いろんな靴底模様は、人の足跡。
可愛らしい肉球スタンプは、犬の足跡。
小さな3本の松葉は、鳥の足跡。

なんだか楽しくなって、ひとりで笑った。


公園を通り抜ける。
わざと歩道を外れ、芝生の中に形成されたけもの道を歩く。
足の裏に感じる土の感触が気持ちいい。

ニマニマしながら歩く私は、さぞかしおかしな人に見えただろう。


 ひよこ足あと


重度の自閉症である東田直樹くんは、13歳のときに書いた『自閉症の僕が飛びはねる理由』(角川文庫)で、自然と遊ぶのが楽しみだと書いている。

“自然は、いつでも僕たちを優しく包んでくれます。”
“見ているだけで吸い込まれそうで、その瞬間、僕は自分の身体が生まれる前の小さな分子になって、自然の中にとけていくような感覚に襲われます。
とてもいい気持で、自分が人だということも、障害者だということも忘れてしまうのです。”
 (P.110)

私は海と空に溶け込んでいくとき、彼と同じような感覚を味わっている。
でも、社会に戻ることを意識し始めてから、その感覚は薄くなってしまった。
生きていくために必要だった仮面や鎧を脱ぎ捨て何もかも手放して、素っ裸の自分に戻っていたあのときだけの、奇跡のような時間
自然にうまく溶け込めなくなったのは、また鎧をつけてしまったということなのだろうか。
でも、社会に戻るのに素っ裸では心もとないじゃないか。

せめて以前のようなガチガチの鎧ではなく、しなやかな素材のものを新調したい。
そして、ONとOFFの切り替えが下手な私でも大丈夫な、着脱が容易な鎧がいい。

そんな鎧を手に入れたら、休日には鎧を外して海へ行こう。
そうすればまた、あの海と空に溶け込めるかもしれない。
 

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